2020年があと10日で終わってしまいますね。
早朝、気温はマイナス5℃のなか三峯神社で初詣をした元旦が、つい先日のように感じてしまうくらい今年はあっと言う間に時間が過ぎ、時代の変化にどうにかしがみついて生きている僕(@ka_zz)です、ごきげんよう。
世界が新型コロナウイルスに始まり、新型コロナウイルスで終わろうとしています。
世の中の変化も激しい一年で、2012年からベジフード業界を観察して情報を発信している僕が見ても驚くほど、予想以上にプラントベースフードが一般市場に広がってきています。
コンビニ、スーパーでもふつうにヴィーガン、プラントベース という文字が書かれが商品を見かけるようになりました。それだけ世間にベジ飯が認知され、消費が多くなってきた・・と思いたいところですが、実際は違います。
残念ながら、プラントベースフードはまだ商売として成り立っていません・・
その原因のひとつとして考えているのが「ヴィーガン」という表記です。
ヴィーガン表記は売り上げ増に貢献しているのか?
2020年、プラントベースフードの商品は、スーパー・コンビニ・ファストフードに登場しては消え、また登場しては消え、まるで花火のようにパッと咲いてはすぐに散っていった印象があります。
SNSや各種メディアを眺めていると、世界的にプラントベースフード市場は大きな盛り上がりを見せているような印象があります。2019年にロサンゼルスで食べ歩きをした時も、擬似ミートをつかったバーガーがあちこちで売っていました。
米国のベンチャー企業インポッシブルバーガー、ビヨンドミートが2018〜2019年にかけて急成長を遂げたことで、フェイクミートのムーブメントが世界中に巻き起こりました。実際にフードテック市場は右肩上がりのようで、日本でも大手企業がこぞって参入し、商品が店頭に並ぶようになったのが2019年でした。
2020年はパンデミックの影響で、外食産業は大きなダメージを受けておりますが、それでもプランベース商品は次から次へと開発され、お店に並ぶようになったわけですが・・
実際のところ、商品が非常に短命なのです。
つまり、思ったより売れない状況がつづいています。
以前から、社会的意義によってプラントベースフードを販売していたCoCo壱番屋やモスバーガー、ヤマダイ(ニュータッチ)、イオン、ファミマなどについては、今回の話に当てはまりません。どうしてかというと、売れても売れなくてもマーケット状況に左右されず、プラントベース市場を自らリスクをとって開拓の目的で販売しているからです。
▼箱買いするとかなり重宝するヴィーガンカップ麺
ヴィーガンという枠組みを外して味で勝負すべきである。
ともあれ、世の中にプラントベース商品が流通拡大したことは紛れもない事実。
問題は、商品が定着しないで、すぐに消えてしまうこと。
企業が商品をリリースする時に、原材料がプラントベースであることを連想させる商品名を付けます。ターゲットは”食や健康にこだわる人”に絞っていることが伺えますが、数々の失敗事例を見ると、そもそもターゲティングの時点で間違いを犯している、としか考えられません。
企業自体がプラントベース市場に対して強気になれない現実があります。
例えば、モスが発売したプラントベースグリーンバーガーは、個人的に高い評価をしています。しかし、今回の展開で予想より売れたかというと、違ったはずです。(全店舗販売という快挙だったものの、後日一部店舗で販売を停止した)
例えば、ふつうのモスチーズバーガーやてりやきバーガーが好きな人が、グリーンバーガーを食べて「美味しい!」と思えるか?というと、そこまでのレベルではありません。
(プラントベースのモスチーズやてりやきバーガーの登場に期待しています)
プラントベース商品を好んで食べる層が、まだまだ圧倒的に少数であることは企業側も理解はしているでしょう。そんな状況で、売り上げを伸ばして行くには”プラントベース商品を好んで食べない層”も巻き込んでいく必要があります。
パンデミックによって、海外からの旅行者が激減し、外国人ベジタリアンに愛されていた都内のベジタリアンレストランは、大きなダメージを受けました。僕が愛用していたお店も2020年12月末で閉店という残念な結果に・・
今回の出来事から前向きなヒントを得るのであれば、それは・・
・ベジタリアンフードに興味がなかった客層を開拓すること
・月に何度も通いたくなるように味とサービスを磨くこと
この2つ以外に、売り上げを回復、拡大させる方法はあり得ません。
そうなった時に邪魔になるものがあります。
それが、ヴィーガン、ベジタリアンという枠組みです。
残念ながら、ヴィーガン、ベジタリアンという単語は、現時点でネガティブな印象を一般消費者に与えます。VEGANという言葉が商品パッケージに表記されていることは、ヴィーガン+ベジタリアン+健康意識が高い人々にとっては親切であっても、一般層からすれば、それは高い壁がある印象を与える”分断の印”に他なりません。
現時点で、ヴィーガン、ベジタリアンという概念は、本質は素晴らしいものでありながら、人々に与えている印象は決してポジティブではないことを理解したほうがいいでしょう。
ただし、2020年は有名芸能人や著名人がヴィーガンに関することを、YouTubeなどで公に発信したこともあり、今後は徐々にヴィーガンに対する一般層のイメージは変わってくると思われます。
(ただし、SNSで問題になっている高圧的で勘違いをしている一部の自称ヴィーガンが業界の邪魔をしなければですが・・)
プラントベースという枠組みを外して味で勝負を。
プラントベースフード市場を拡大するには、
・客層の開拓
・味とサービスを磨く
この2つが鍵となりますが、すでに実践して成功をおさめた事例がいくつもあります。
ベジソバによってベジ系ラーメンを開拓したソラノイロ、まめらー(豆乳ラーメン)の美味しさによってお店の看板メニューにまでなったキックバックカフェ、おかず+ごはん+味噌汁という伝統的な定食で一般層にも支持されている”にしまきごはん”。
大企業で言えば、先に紹介した森永のマクロビ派シリーズ、いち早くプラントベース商品に取り組み定番メニューにさせたCoCo壱番屋などなど・・
リスクを恐れずパイオニア精神で市場を開拓しつつも、本質である”味”と”サービス”に磨きをかけている、本当に価値ある仕事をされている人たちが素晴らしい前例を作っております。
これらの前例に共通していることが、
プラントベースとかヴィーガンとかオーガニック以前に、誰が食べても「美味しい!」と率直に思える味を追求していることです。その大前提として「美味しくて身体にも優しい食べ物をたくさんの人たちに食べて欲しい」という強い思いがあります。
・少数派のベジタリアンやヴィーガンを喜ばせよう
・お肉を食べられない人たちのために美味しい料理を作ろう
という目的は、今までなら価値あるものでした。
時代は大きく変わっているのです。
人々が外で消費をしなくなる傾向が今後も拡大していきます。
「美味しくて身体にも優しい食べ物をたくさんの人たちに食べて欲しい」
という思いを大前提にして、
“たくさんの人たち”とは?
食の志向・宗教・国籍・食の制限・肌の色などに関係なく、すべての人が理想です。
調布市にあるキックバックカフェは、それをまさに実現したようなお店で、いろんな違いを持った人たちが同じ空間、同じテーブルで美味しい料理(ベジ・ノンベジ問わず)を笑顔で食べています。
スターバックスでラテを注文する時、ミルクかソイミルクかアーモンドミルクを選択して、自分専用にカスタマイズできるように、レストランでも自分専用の食事をお手軽にカスタマイズできる・・のが理想です。
ベジ飯が肉魚鳥料理と同系列で「野菜だけだから」という条件を加えないことで、ベジめしをふだん食べない人たちに対して選択肢のひとつになりやすなる、というのが僕の考えです。
逆に言えばヴィーガン、ベジをアピールすることはベジの拡大に逆効果となっていると判断しました。 https://t.co/gsf1nRYEwo
— Kazuaki TANI (@ka__zz) December 21, 2020
これについて言えば、SNSなどでベジ飯(プラントベースフード)の美味しさを拡大しようと思い、「こんなに美味しい料理が植物性100%で出来ている!」的に紹介をしてきました。しかし、これもベジタリアン・ヴィーガンではないその他大勢の人たちに対して壁を作っている行為となっている・・と判断しました。
補足としてベジ(プラントベース)であることを書いても問題はありませんが、こんなに美味しい料理がベジなんです!すごい!系の表現を全面的に打ち出すことは、これからの時代はマイナスでしかありません。
SNSで料理を紹介する場合、
・誰が見ても美味そう!
・誰が見ても食べたくなる
そう思える写真と感想だけを書いて、ヴィーガンとかベジとかを意識させないほうが、より多くの人たちが抵抗を感じずに素直に見てくれるでしょう。
それでは皆さん、素晴らしい人生を
Have a good day!
and God bless you!
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