西武ライオンズの金子侑司と岡田雅利の引退とセレモニーに思うこと。

今年の西武ライオンズは歴史的大敗を喫することになり、明るい話題はなかなか出てこないなか、8月中旬から打線はつながらないもののヒットや長打が出るようになってきた。9月15日、千葉ロッテマリーンズに勝ったことで年間100敗は免れることになり、少しだけ来年に繋がりそうな展開が生まれてはきている。

そして、今年は例年よりも引退する選手の発表が早く、9月14日は岡田雅利捕手が。今日15日はスピードスターの金子侑司選手が引退試合を行った。岡田選手も金子選手も多くの期間が試合に出るよりも怪我の治療やリハビリのほうが多かった印象がある。それでも、ふたりともスターであることは間違いなく、ライオンズが2018-2019年とリーグ優勝できたのも、ふたりの活躍と献身のおかげであると思う。

この日の試合はまさにドラマティックで最高に面白かった。

金子侑司選手を2塁において、源田壮亮キャプテンがホームランを打った。8回裏は7人目の金子選手に繋げようと、若手たちが必死に繋いだ。そして涙を流しながら打席に入る金子選手。途中、キャッチャーへのファールフライ、これで終わった..と思ったらマリーンズの佐藤 都志也捕手があえて捕球しなかった。

僕的には、このシーンがもっとも印象に残った。大きく負けているとはいえ、クライマックスシリーズがかかっているマリーンズなので、このプライには批判もあったと思う。しかし、それでも引退していく選手に花を持たせて退かせるために球を取らないという行為は最高に美しく思う。

前日の、岡田選手の最後の打席は見事なツーベースヒットなった。しかし、よくよくこの場面を見るとサードの中村奨吾選手が意図的に捕球を遠慮しているようにも見えた。マリーンズの選手、そして岡田金子両選手をあたたかい拍手で送ってくれたファンの方々の紳士な振る舞いに感動するしかない。

多くの人が、小学校低学年くらいで野球人生をスタートするが、プロ野球界に入れるのは極々一部の才能と運がある人だけだ。さらに1軍で活躍できる選手は極一部、さらに10年以上のキャリア積んで引退試合とセレモニーを用意してもらえる選手はわずかになる。とても厳しい世界だ。

セレモニーを用意してもらえる選手になれば、引退後の再就職は野球に関連した仕事を見つける確率は高い。しかし、その手前で引退に追い込まれた選手はそうはいかないのが現実で、地方の野球リーグや海外のチームで現役を続行する選手もいるが、それも極一部で、実際はふつうの会社に就職したり、自分でお店を出したりして、野球とは関係のない業界で生きていくことになる。

プロ野球界からいなくなればメディアに取り上げられることもなくなり、一部の熱心なファン以外の記憶からは消えていく。だから、プロ野球選手は可能な限り引退後の仕事につながるようなプロ野球生活を送ってほしいと思うが、そうなると練習や試合が疎かになる可能性があり、結局は目の前の野球に全力投球することになり、野球以外のキャリアをつむことは相当難しい。

岡田選手と金子選手は、ふたりとも野球界で再就職をすることになると予想している。

ふたりともライオンズ一筋で現役を終えたことだし、場合によってはコーチ業やスカウト業、場合によっては解説者になるだろう。この先の心配をファンがする必要はない。

そして、華やかな引退式が終わると、選手もファンも現実に引き戻される。

我に帰れば、プロ野球戦だけでなく僕たちも自分の仕事が、いつ戦力外になるかわからない。だから、プロ野球選手の心配をしたり入れ込みすぎて自分の未来のための動きに影響がでるようでは本末転倒だ。と、言いつつも引退試合の日くらいはどっぷりとこの世界に没入してもいいだろう。

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