
武蔵小金井駅から歩くこと20分、決して立地が良いとは言えない場所にある古い民家でこの宇宙の果てまで輝くほどの料理を出してくれる「にしまきごはん」は僕がこの世界でいちばん好きなお店だ。
美味い!
これ以外の言葉は必要がない。
おかずと、味噌汁とごはん。日本人には馴染みの定食ってやつだ。おかずをつまんで、ごはんを食べて、味噌汁をすする。その繰り返しを黙々とつづける。シンプルな昔ながらの定食ではあるが、そこいらのものとはわけが違う。当然、人それぞれ味の好みも嗜好も異なるが、一度食べると病みつきになる。1日三食を毎日、死ぬまでにしまきごはんでも良いと思える、と皆が口を揃えて言う。
この日のおかずは南瓜のお揚げ包みコロッケが主菜。ホクホクのかぼちゃが油揚げの中に入っていて、それがカリッと揚げてある。ソースではなくカボスを絞っていただく。ごはんは玄米か雑穀米を選べて、僕はいつも雑穀米。味噌汁がこれまたじんわりと美味い。出汁は昆布と玉ねぎ、そして季節の野菜の旨みが出ている。まさに素材の味が生きた味噌汁である。
ここまで長く生きてきた実感として、食事が雑になると仕事も生き方も雑になってしまうのが僕の性質。にしまきごはんのように丁寧に大事に作られた料理は、自然と箸の運びと、それから咀嚼まで丁寧になる。ふだんならガツガツと食べてしまうのに不思議な現象だ。
客席を見渡すと、見たところ北欧系の外国の方がひとりちゃぶ台で食べていた。
その様子は、僕たちと同じ。美味しそうに満足そうにゆっくり味わって食べていた。常連さんなのか、たまたまなのか分からないが幸福そうな表情で食事を終え、帰っていった。
西真紀さんが作っているからにしまきごはんと言う。2017年だから8年ほど前…野菜料理家の庄司いずみ先生の料理教室で同じテーブルとなった。その頃、月1でワンデイカフェをやっていた真紀さんの料理がやたらと美味しい!と評判となる。いずみ先生の声がけで真紀さんが講師をつとめ、僕も料理を習った。その時のメニュー、きゅうりの金平が感動的に美味しくて今でも時々作っている。
そんなこんなで、武蔵小金井でお店を開いたのがにしまきごはん。
2年目くらいまでは足繁く通ったが、最近はすっかりご無沙汰していた。食後に豆乳チャイを飲みながら、僕自身の食事を省みると少々雑になっていたことに気づく。
これはいかんなあ、と思ったから、月いちでいいからまた通おうかな。
Instagram:https://www.instagram.com/nishimakigohan
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