孤立したイギリス陸軍の脱出劇「DUNKIRK」を全人類が観るべき映画だった。

ささやかながら3日間のお盆休みをとってはみたが、台風が通過するタイミングだったので予定をしていた行事がなくなり、かわりにAmazon primeで映画を何本か観た。8月15日が終戦記念日ということで、第二次世界大戦に関わる映画を選んだ。

「ダンケルク-DUNKIRK」は1949年、ドイツ軍に包囲されて孤立したイギリス陸軍兵士40万人を救出するダイナモ作戦を描いている。この当時、ナチスドイツが隣国に侵攻し、フランスが陥落寸前、イギリスも劣勢を強いられていた頃の実話である。

実はこの映画の前に「ウィンストン・チャーチル」を観ていた。当時の首相チャーチルが就任してからダイナモ作戦が終わるまでの話だ。チャーチル首相の人柄と、葛藤や苦悩が描かれていてとても面白かった。この映画のなかでもダイナモ作戦について首相の視点から描かれていたわけだが、現場の様子などはいっさいなく、とても気になっていたところで「ダンケルク」を観た。

最高に面白かった。

それ以外の言葉は見つからない。

監督は「インター・テスラー」や「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン。インター・テスラーを観た時はものすごい才能を持っている監督だと思ったし、ダンケルクを初めて観て、その才能をさらに発揮していた。

戦場をリアルに描いた作品といえば、D-day(ノルマンディー上陸作戦)を描いたスピルバーグのプライベート・ライアンや1917を思い出す。僕的には今まで観たことがある作品のなかでもっとも臨場感があったのがダンケルクだ。そして、ストーリーの展開も、視点の切り替えも、常人では思いもつかないアイデアと手法で繰り広げられている。

具体的にこのすごさは僕の言語化能力ではできないので、Wikipediaの力をお借りする。

ストーリーは、トミーらが敵から逃げ救援を待つ「陸」の1週間、ドーソンらが民間船として救援に向かう「海」の1日、そして海岸で救助を待っている帰国を決めたイギリス軍の兵に襲い来るドイツ軍の戦闘機を迎撃するファリアら「空」の1時間の三幕をそれぞれ時間を並行させながら進行していく。「陸」の1週間の最後の1日からは「海」と、そしてその2つの最後の1時間は「空」とクロスしていく。

出典:ウィキペディア

また、連合軍側の映画にありがちな、連合軍=正義、枢軸国側=悪という描き方をしていないのも素晴らしい。戦争に正義も悪もあたものではない。そのことを監督は理解をしているのだろう。

映画の端々から知性を感じることができる。

実は、この映画を観た時に、インターテスラーと同じ監督だと知らなかった。絶え間なく流れている音楽を聴きながら、インターテスラーの映像が頭に浮かんできた。この映画に独特の臨場感と戦場の恐怖を与えているのがこの音楽で、やはり同じ作曲家ハンス・ジマーだった。

どんなに困難な状況でも生き延びようとする兵士たち、自分の役割を果たそうと勇気を振り絞る小型船を徴用された民間人、極限の状況だからこそ出る人間の崇高さと醜さ..果たして、僕が戦争という現場にいたとしたら、実際にどうなってしまうのだろう?

そんなことを考えながら、ずっとこの映画を観ていた。

最後に、ダンケルク救出作戦を決定したチャーチル首相を描いた「ウィンストン・チャーチル」を先に観てからダンケルクを鑑賞してほしい。ナチスドイツに圧倒されていたこの時期、混乱するイギリス政権のなかで奮闘する首相の物語をぜひ先に観ることで、3倍面白くこの映画を楽しめるだろう。

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