
2026年5月13日の13時35分のことだった。
仕事の合間にLINEをチェックすると信太郎さんからメッセージが入っていた。なんだろう?と思って見てみると大野雄二さんがお亡くなりになったというニュースのリンクが貼ってあった。ニュースのタイトルだけ読んでスマホから目を離して深呼吸をした。「そうか..」と思ってすこしばかり放心状態になった。
ここ最近、大野さんのLIVEの告知を目にしなくなって久しかった。信太郎さんとの会話で大野さんは最近どうしているのか?と時折話をしていた。その都度、きっと体調が優れないか体力的に厳しいだろうと思っていた。享年84歳だったそうだ。僕(@kazuaki_TANI)の父親と同い年である。
1977年にテレビアニメ「ルパン三世パート2」が放映され、日本人なら多くの人が口ずさめるあのオープニングテーマ曲を聴いた僕は、一瞬で好きになった。そして、もっとお気に入りだったのがエンディングテーマだ。「愛のテーマ」そして「ラブ・スコール」はオシャレなのにどこか物悲しく、それでいて美しいメロディーは、子供の僕を少しだけ大人の気分にさせてくれた。
当時はもちろんこの曲を作曲した大野雄二であることは認識できていない。それでも、テレビをつけると流れてくるルパンのテーマ曲を僕はかっこいい音楽だと認識していた。決定的だったのが1979年に劇場公開された宮崎駿監督の「ルパン三世カリオストロの城」だ。友達の増田くんが親から無料チケットをもらったらしく僕も一緒に映画館に連れていってくれた。47年も昔の映画になるが今現在でも絶大な人気を誇っている作品で、日本のみならず世界中で支持を集めている。ストーリーも面白いが、大野雄二の音楽がこの映画の魅力をさらに引き立てている。
カジノに泥棒に入るシーンから始まり、見つかって逃亡し、ゴート札という偽札の謎を追って次元大介とともに愛車フィアット500でヨーロッパの小国、カリオストロ公国へ向かう。そこで流れるのが主題歌「炎のたからもの」だ。この曲は僕がいちばん好きな曲で、大野雄二の魅力がすべて盛り込まれている。半世紀を経ても色褪せることがない超名曲だと思っている。
#大野雄二 さん作曲だとカリオストロの城OP『炎のたからもの』もめちゃ良いんすよねぇ👍️ pic.twitter.com/vccqqvVm3S
— Max's Toybox (@Max_Toybox) May 13, 2026
昭和中期という時代は、今でこそノスタルジックな雰囲気が再評価されているが、リアルタイムで幼少期を生きた僕からすれば、テレビから流れてくる映像も音楽も決してかっこいいものではなかった。だが、そのかっこわるさが僕たち庶民には丁度よかったし疑いものなく楽しんでいた。
大野雄二は、大衆文化であるルパン三世というアニメを使って自身のセンスを最大限に表現していた。
ジャズピアニストらしい日本の歌謡音楽離れしたリズムとメロディーが子供ながらに心地よさを感じた。もともと、ルパン三世の大人向けに企画されたアニメでシリアスな内容だったが、視聴率が伸びず最初の演出家が降りてしまう。緊急登板として高畑勲と宮崎駿が匿名を条件で起用され、テレビ局とスポンサーの要請でやや子供向けに軌道修正されたという経緯があるらしい。
だから音楽もパート1から大人向けでかっこよかった。70代の尖った人々はファッションも音楽も考え方も異色で、大衆に融合しようとしない粋な表現をしていた。そのためか、視聴率はどん底だったが歴史に名を残すアニメとなった。個人的にはパート2までとカリオストロの城までリアルタイムで観ていたが、それ以降はサンライズ系アニメに志向が移ったのでルパンは時々観る程度になった。

大人になってしばらくすると、大野雄二がジャズバンドを組んでLIVEをしているという情報をかぎつけて何回か足を運んだ。寡黙な性格らしくしゃべることはほとんどなく、ルパン関連の曲をはじめ、NHK「小さな旅」のテーマや犬神家の一族「愛のテーマ」などを演奏してくれた。信太郎さんを招待したこともあり、ふだん聞きなれないジャズコンサートを楽しんでくれた。
カリオストロの城と大野雄二の音楽はその後もずっと僕の人生とともにある。
そして粋な大人たちが作った作品は、時代を超えて世界中の人々を魅了しつづけるだろう。
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