
2018年8月13日から暮らした家を出ることになった。
8年という月日は、その間にパンデミックに伴う緊急事態宣言もあって社会の混乱を経て世の中の構造が大きく変わったりして僕たちの暮らしにも大きな影響が出た、長いようで短い時間だった。思い返せば、所沢で住んでいた家をなかば追い出されるようにやってきたのがこの地だ。
所沢の家を退去する日が8月15日に迫っていた。移住先をいろいろイメージすると候補としてあがったのが鶴巻温泉だった。ネット検索をして物件を探したが今ひとつピンとくるものがなくそのまま放置していた。2018年7月26日か27日だったと思う。友人と市内のカフェで会う用事があって、いよいよ今の家を追い出される話をした。すると、その友人の家の近所に空き物件がありそうだから今から不動産屋へ行こうと言われた。そのまま友人の車に乗って不動産屋へ行く。


すると、1軒空き物件があったので担当さんの車で内観へ行った。目の前に公園がある戸建ての賃貸でなかなか良い感じだったので決めようと思って2日後に返事をすると言ってその日は所沢へ帰った。
2013年に、このエリアに来て阿里山カフェで食事をしたことがあったのでベジタリアンが生活しやすく、静かな環境はなかなかないので前向きに検討した。すると翌日、不動産屋の担当さんから連絡があってもう一軒空き物件が出たから見ますか?ということで見に行って決めたのが今の家だった。リビングの目の前には高麗川が流れ、樹々と空が視界にあるだけでイメージしていた環境だった。
物件を見た帰りにカフェ日月堂でコーヒーを飲みながらこれからの暮らしを空想したことを思い出す。


猫のクロロくんと一緒に引っ越しをしたのだが、車に乗るのが大の苦手なクロロくんだったのでかなり大変だった。しかし、家のなかに入るとクロロくんは家を氣に入ったらしく翌日には馴染んでくれた。僕の人生にとって最高の相棒であるクロロくんの思い出はまた別の記事にしようと思う。
高麗本郷の家に住んで、何よりも素晴らしかったのは南側が高麗川と樹と空しかなかったことだ。
毎日を生活する空間で、視界を空と緑で満たし、朝は鳥の鳴き声で目を覚ます。春夏秋冬を五感で味わい、季節の移ろいを全身で感じながら日常を過ごすことができたし、これほどの贅沢は無いと思いながら暮らしていた。高麗という場所自体が呼吸をしていると感じるし、心静かに過ごすことができた。
今度の家はアパートで南向きの角部屋ではあるが建物や電線が目に入る立地だ。とにかく高麗エリアは賃貸物件がない。移住希望者がわりと多くいるが、皆さん何年も探しているし、途中で諦めて他の場所へ移住してしまっている。だから、後から考えると高麗本郷の家が1日で見つかったことは奇跡的なことだった。個人的には土地の神様の導きがあったと思っている。


当初は2年くらいの高麗暮らしを考えていた。ところが、地域の人たちとの交流やオーガニックフードと新鮮な野菜、山と川、そして高麗神社のおかげで氣がつくと8年を経過していた。これからも何もない限りはこのエリアを拠点にしようと思っているが、できれば2拠点で生活をしたいと考えている。
住環境については、視界を緑と空、心地よく家を通り抜ける風、鳥の鳴き声で起きる環境がいい。高麗も田舎だが、もうひとつの拠点はもっとさらに田舎で湧き水が豊富で源泉掛け流しの温泉が近いエリアに構えたい。イメージでは群馬の北部、長野の八ヶ岳エリア、場合によっては北海道で夏が涼しいところがいい。かなり贅沢だが、自分の人生なので貪欲に豊かにしていきたいと考えている。


高麗本郷の家は、9日には不動産屋に鍵を返しにいく予定だ。
沢山の思い出が詰まったこの家を離れるのは寂しいばかりだ。しかし、この世は諸行無常であるし変化をしていくからこそ人生が前に進んでいく。いずれは自分の家を持ちたいとも思うが今のところは生活のコストを抑えて仕事と学びに集中していきたい。

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