面倒だった米を炊くその時間が好きになる映画「川っぺりムコリッタ」

なんだか訳ありの松山ケンイチくんが演じる主人公は、やたらと旨そうに白米を炊く。

おかずは、ムロツヨシさんが演じる妙に馴れ馴れしくて勝手にあがってきて風呂と飯をねだる自称ミニマリストの隣人が家庭菜園で育てたきゅうりやトマト、そして彼お手製の漬物。そして主人公が働いている加工食品工場でもらってくるイカの塩辛のみ。

コミュニケーションが苦手でパーソナルスペースが狭い主人公なのに、隣人はずけずけと図々しく詰め寄ってくる。ガス代を節約するために「風呂いいよね?」と聞きながら本人の許可なく主人公の部屋の風呂に入ってしまう。風呂から出ると自分の茶碗と箸で主人公が炊いた米と味噌汁を食べる。

最初は、図々しさと近すぎる距離に戸惑い断っていたが、いつものまにか隣人はごはんのお代わりまでするよになっていく。

家庭菜園は隣人によって綺麗に整備されており夏野菜がわんさかと実っている。

生でそのままガブリと齧ることもあれば、隣人が漬物にすることもあって、収穫した野菜と主人公の家の風呂、そして時々だろうが風呂上がりのビールと交換している。主人公は孤独死と思われる父親の死後の対応をすることになる。といっても幼児期に分かれており記憶もない、そんな父親なので葬式とか出す義務もないが、とりあえず悩んで火葬をすることになった..

そんな話です。

お金もなく、仕事もイカの塩辛工場で黙々と単純作業をこなすだけ。楽しみといえば風呂と夕食くらいで趣味もない。そんな主人公にとって図々しい隣人は、心と心を通わせる存在だ。そしてもうひとり満島ひかりちゃんがアパートの大家さん役でいい味を出している。設定としてはめぞん一刻の響子さんに似ていて夫に先立たれひとり娘を抱えながら自分らしく生きようとしている。

僕が大好きな俳優、吉岡秀隆くんが仏壇売りの怪しいセールスマンとして出演しているのも嬉しい。ザ・吉岡くん的なキャラクターで情けなくて頼りない、北の国からの純がそのまま年をとった感じの性格だ。

そんな登場人物が、富山の田舎にあるよくある寂れた平屋のアパートで物語を紡いでいく。

日本の現在(いま)をちゃんと後世に伝えることができる映画だと思うし、日本人のリアルな生活を描いている。多少ファンタジックな内容も盛り込んではいるが、それも映画的演出としての範囲なので違和感なく楽しめる。

映画を見終わったあとの僕は、主人公に触発されたのがごはんを炊く作業を今までよりも楽しめるようになった。珈琲を淹れる時のような感覚に似ている。米を研いで浸水させて、土鍋に火をつけて、ぶくぶく沸騰したら弱火にして..そんな時間が愛おしくなったのはこの映画のおかげだ。
 

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