
1982年7月にリリースされた「小麦色のマーメイド」は僕の人生史上、いちばん聴いている曲のひとつだ。
作詞 松本隆、作曲 呉田軽穂(松任谷由美)編曲 松任谷正隆 という天才たちが作った曲を、当時人気絶頂だった聖子ちゃんが歌っている。10枚目のシングルであるこの曲は2026年に聴いてもお洒落で新鮮だし、曲のなかの情景と揺れ動く少女の気持ちが五感すべてに伝わってくる。
1982年の夏といえば、近所に住んでいた友人のトシユキ君からマイケル・ジャクソンのスリラーのLPを借りてテープにダビングしたやつを聴きまくっていた頃だ。明菜ちゃんが少女Aでデビューした時でもあったから音楽的に賑やかな夏だった。調べてみると、哀愁のカサブランカ(郷ひろみ)、北酒場(細川たかし)、セーラー服と機関銃(薬師丸ひろ子)、虹色THE NIGHT CLUB(サザンオールスターズ)がベストテン番組を賑わしていた頃だ。
裸足の季節でデビューした聖子ちゃんは、圧倒的な歌のうまさとキャラクターで国民的な人気者になって新曲を出せば1位になっていた。小麦色のマーメイドを初めて聴いた時は僕自身がまだ子供だったこともあって、それまでの曲と比べてどこか物足りなさを感じたし、大人の雰囲気を醸し出す世界観にそれほどハマることもなく、ベストテン番組の圏外になり新曲が出るとこの曲は僕の生活から消えてしまう。
ところが、10年以上が経過した時、車でドライブ中にFMラジオから流れたことがあった。
当時、ユーミンの80年代初期のアルバムを聴きまくっていたから、小麦色のマーメイドがどこか耳に馴染んだ感があって「あれ?」って思ったのだ。懐かしい曲だなあ、と思って聴き入っていると曲紹介でユーミンと松任谷正隆が手がけた曲であることを知って衝撃を受けたことを思い出す。呉田軽穂という名前はずっと認識していたが、まさかユーミンだったとは!
聖子ちゃんのファンかと言われればそうではない。当時は明菜派だったし、その後、桃子を経てアイドルは卒業した。
それでも、小麦色のマーメイドは永遠にリピート再生していられるくらい心地いいし好きな曲だ。これだけ僕のなかで消費してもずっと聴いていられるのは聖子ちゃんの歌、生き方がもの凄いからだし、それに併せて製作陣の才能とエネルギーがぎっしり詰まっているからだと思う。
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